15pのロングインタビュー
略歴、そして全作品本人解説で知る“作家・伊坂幸太郎”の歩み
2p映画「陽気なギャングが地球を回す」特集
『真面目なことを真面目に伝えるのはフィクションの役割じゃないんで、荒唐無稽なもので覆って伝えたい。そうでないと読んでもらう意味がない』
3pの写真と9pのインタビュー
『最後のほうのクライマックスにあたるシーンは、ファミレスで書いたんです。書き始めた時、つまり一年前からずっと書きたかったシーンでしたから、「あ、今日ついにあのシーンを書くんだ」って朝から嬉しくてワクワクしてたことを覚えています。』
五十嵐貴之さん、光原百合さん、森達也さんによる『砂漠』書評
『男同士の友情物がすきなんですよね。兄弟はある意味その究極形で、友達と違って別れられないじゃないですか?だからこそ奇麗事じゃ済まされない問題もあるでしょうし、それが面白い。後半に「兄貴はそう言っていたんだ」という弟のセリフが出てきますけど、根拠はなくても信頼はある、そんな関係が大好きですね。』
『小説を書くことは、山登りと一緒ですごく辛いんです。でも、苦しみながらも頂上が見えてきた時の快感ってあると思うんですよね。しかも登山と違って、書いた小説を自分で何度も読むことができる。僕は自分が書いた小説を自分で読んでる時がいちばん楽しいんですね。そしてもちろん、頑張って完成させた物語を読者の方に読んでもらえるのも幸せです。』
『死神の精度』第12位
作家別得票 第4位
私の隠し玉
『2006年は、春ごろから、地方新聞の長編連載をやらせていただく予定になっています。具体的にどこの新聞に掲載されるか、現時点ではわからないのですが、今のところ、「オー!ファーザー」という題名で、四人の父親をもつある一人の高校生の日常を書く予定です。』
『もともと僕は、大きなものに馬鹿馬鹿しくも立ち向かう話が好きなんですよ。読む側としても、書く側としても。「どうせやったって変わらない」というのは、現実では仕方なく受け入れざるを得ないこともありますが(笑)、物語のなかでも、そういう白けた雰囲気が漂っているのは苦手なんです。だから世界にきちんと接続しているものや、理不尽に立ち向かう姿をかいてゆきたいんですよね。』
『社会や政治に関心を持たず、距離を置き、自分の周辺だけが愉快であればそれでいい、という人々や、そういった感覚の小説に違和感を覚える僕としては(僕自身の作風が、そうだと認識されているのは覚悟した上で)、政治に接続したお話を書いたことは納得できる作業でした、ただ、にもかかわらず、これが政治に関するメッセージだ、と受け止められることには恐怖があって、頭を悩ませ、何度も何度も立ち止まり、書き上げた部分を消してやり直す。そんなやり方で、この本を書き上げました。』
伊坂さんからのQ. 『純文学とエンターテインメントの違いって何ですか?(その定義や違いには関心がないのですが、吉田さんがどう回答されるのか、には興味があります)』
吉田さんからのA. 『良い小説を読んだあとにやたらと人に薦めたくなる本と、そっと自分だけのものにしておきたい本というのがあって、もしかしたらそういうことなのかなあと』
『おこがましい言い方になりますが、ジャンルは違うけど、あらゆる場面に死神が出てきて、それがすべて伊坂幸太郎の世界になっているという気持ちで書いていました。』
『僕はやくざの話がいちばん好きです。舎弟の阿久津が、藤田さんが負けるわけはないと祈るように、何かを信じている人が好きで、それが報われて欲しいと思ってしまうんですよね。現実社会では信じていることは無理だったりするけれど、小説の中くらい信じている人物がカッコよいままでいてほしいし』
『恋愛ごとはその当事者がとても盛り上がっている状況ですよね。当事者は楽しいんだけれども、小説として読んだときにどうかなっていうところがありました。その時に、例えば今回の「透明ポーラーベア」に出てくる“お姉ちゃんの元彼”との関係ってすごくばかばかしいじゃないですか。そういう温度の下がる、低くなる方法を必死に探して書いたんです。』
小説NON 2005/8号に同記事掲載
『僕には、湿っぽい話や泣ける話に対する抵抗があって、意識的にそうならないようにしようとは、毎回思っています。泣ける話と面白い話は別なのに、そんなにみんな泣きたいのかなと。僕の書いているのは、ごく普通の比較的まじめな話が多くて、それを湿っぽく深刻に伝えても、読者に届かないんじゃないかという恐怖心があります。だから、カラッとしたユーモアやふざけた感じで包んで伝えたい、ということはすごく考えています。』
『どうしても僕の作品は長くなりがちで、今では中・短編を書くのは結構キツイんですが(笑)、この連作を書いているときは、一作仕上げて編集者に送るとき、本当に大きな満足感と達成感がありました。現時点での僕の代表作といえると思います。』
『ファシズムや国民投票は、テーマではありません。かと言って、ただの物語の「飾り」でもないんですよね。僕の思想や意見は入っていませんが、僕自身の困惑をそのまま、放り出している感じです。』
俊英が語る、自作文庫化への想い
「オーデュボン」は文庫化に際して、百五十枚も削ったことについて
『そもそも僕自身、本は携帯するものという意識があるので、分厚くするのは気が進まなくて。それに、冒険小説などならともかく、僕が書く作品というのは、それほど長い分量が必要なものではないと思っているんですよ。長くなるのはむしろ書き手の怠慢だと思っているほどで。「オーデュボン」はとくにムダに長かったので、絶対もっと削れるはずだと思っていました。』
Q1.もっとも好きな、または影響を受けた「青春文学」作品は?
『「十九歳の地図」中上健次 「夏、19歳の肖像」島田荘司 「19分25秒」引間徹』
『休憩時間の話、それだけなんだけれど、でも、この、「それだけなんだけれど」というのが短編小説の面白味のような気もする。「休憩時間の話、それだけなんだけれど、でも、良いんだよ」と言いたくなるような、そういうところが魅力であると思う。』
『謎を解くのには結構、発想の転換が必要で、それだけに、「こうやるのかも」と閃いた時は感動的です。僕も、別の部屋にいる奥さんに、「今、すごい謎解いちゃった」と報告しにいきましたから(笑)。』
2004年に読んで印象に残っている本について、
『「中二階」ニコルソン・ベイカー とか、「熱帯」佐藤哲也とかが読めたのが幸せでした。 あと、薦められて読んだ、「ライダー定食」東直巳が、じわじわ面白かったです。』
酉年のエッセイ