第2位『アヒルと鴨のコインロッカー』
第16位『チルドレン』
第18位『グラスホッパー』
私の隠し玉
『「砂漠」というタイトルの書き下ろしを書いています。大学一年目の学生たちの、軽快な青春ものになりそうで、自分でもできあがるのが楽しみです。』
『グラスホッパー』について
『言い様によってはすごい陳腐だけれども、やっぱりそれでも何かいい言葉ってあると思うんですよ。「やるしかないじゃない、君の言うとおり」っていうその文章ができたときにすごく、小説が動きはじめたんですよ、あの小説は。三人称で書いた小説ってすごく久し振りだったんですけど、なかなか感情移入ができなくて悩んでいたところで開き直りができて』
『瑞巌寺の参道も好きです。太い杉の木が並ぶ場所で、じっと立ち止まっていると静かな気持ちになれます。最近出た、僕の殺し屋小説の、最後の対決の舞台が杉林なのは、ここを歩いている時に、「いいなあ」と感じたのが、明らかに影響しています。』
『誰も見たことのないお話を作る、って毎回思って書いているんですが、今回は何か不思議な感じがする話が書けたんじゃないかと。どこかの映画や小説で見かけたパターンに陥ってしまうのは、嫌なんです。』
引用に関して、『僕の言葉ではない、別の声が入るというのは小説ならではの表現だと思いますし、固有名詞を出すことで、読者が“おっ!"と思うのも楽しいですよね。でも最近は、その固有名詞がはたして共通の記号として作用しているのか気になります。だから今回は、思い切って架空の固有名詞を登場させました。こういうことも、小説なら“あり"だと思うんですよね(笑)』
ぼくの好きな本 by 伊坂幸太郎
『ペット』 三宅乱丈著(小学館)
『二十三の戦争短編小説』 古山高麗雄著(文春文庫)
『Y』 佐藤正午著(角川春樹事務所)
小説の舞台が仙台であることについて。
『物語も組み立てやすい。東京なら、都心にいた主人公を山奥に移動させるのはそれなりの手続きが必要だけど、仙台なら簡単です。』
銀座で画廊を開いているお父さんについてのエッセイ。
『小説でモデルにしたことはありませんが、よく出てくる犬好きな登場人物の姿は、父に似ているかも。』
『現実もそうだけれど、人はそれぞれにそれぞれの暮らしなり、大げさに言えば人生があるわけですよね。そういう一人ひとりの存在感みたいなものが僕はすごく好きなんです。それを伝えられるミステリーをこれからも書き続けていきたいですね。』
小説新潮 2003/5号掲載 エッセイ 阿川佐和子さん他
『佐藤哲也は、毎回、「他の何にも似ていない」オリジナルの物語を創り出し、それを独特のユーモアでくるんで、提供してくれる、そういう作家です。この作家と同じ時代に生きることができ、そしてその作品を母国語で読めるということを、僕たちはもっと誇ってもいいと思います。』
ミステリーレビュー『グラスホッパー』千街晶之氏の書評
『ノワールのような、人間の本質的で残酷な側面を提示しよう、というものではないつもりなんです。こんなに人が死んで、殺し屋がたくさんでてきているにもかかわらず、ある種爽快な雰囲気すら作れるんじゃないか、と思ったんですよね。爽快さって、理屈じゃないですし』
@ザ・ルースターズ「THE ROOSTERS」『去年、ボーカルの大江慎也がライブをやったと知り、感動のあまり、『チルドレンU』という短編を書いてしまいました。A斉藤和義アルバム全部Bソニー・ロリンズ「ソニー・ロリンズ Vol.2」
キャラクターのプロフィール掲載
鈴木 high---170cm weight---63kg item---marriage ring
鯨 high---191cm weight---92kg item---black suits
蝉 high---173cm weight---65kg item---knives
『特定の誰かというのではなく、出てくる人がそれぞれ、自分の人生を生きている―という話が、読むのも書くのも好きなんです。そういう、“それぞれが生きている”というのを表すには、視点を変えると奥行きがでるんですね。前の話の脇役を、次では語り手にすることで、実は存在感を持った主役だということが分かるし』
『世代のせいにはしたくないけど、僕自身、深刻そうだったり偉そうに話されると耳をふさいじゃう。「大変だ、大変だ」というより、「いや、大変じゃないかもしれないんだけど」と穏やかにいう方が届きやすいんではないかという期待があるんです。』
『伊坂さんの作品の根底には「世の中には許せる悪と許せない悪がある」という思いが強くあるよね。万引きしたり放火したりしている連中が愛すべきキャラクターとして出てきて、そんな彼らが本当の悪は許すなとメッセージを発している。僕もこれには共感するんです。世の中には法律とは別に、みんなが皮膚感覚として持っている善悪の観念がある。それが伊坂さんの作品にはさりげなく 盛り込まれている。』
『短編ミステリーの書き方は、長編以上に分からず、いつも試行錯誤しながら書いていますので、その短編で評価していただけたというのは、本当に励みになります。急に特別なことができるわけでもないのですが、それでも、もう少し小説を書いてみよう、とそういう気持ちになれました。』
『様々な人の力を借りて、本を送り出すことができました。いつかお礼をしないといけないなあ、と思っていたのですが、今回、意図せず、こういう大きな賞をいただけたことで、「これがお礼のかわり、ということでいいのかな」と考えている今日この頃です。』
『最後の「イン」は今のぼくの気持ちにいちばん沿っていて、こうやって淡々と毎日が続いていくんだ、という雰囲気が残る小説を目指しました。皆がそう思えたらハッピーだし、世界の平和にも通ずるって。』
執筆の現場から 12pのインタビュー
『「これを納得させたい」というために、伏線を張るんです。でも、僕は読者としてはどんどん読み進めちゃうほうで、「ここに一行書いてありました」というのでは納得できなかったんですよね。記憶に残ってないし、書いていたと言われても、って。だから印象づけるエピソードを前に振っておいた方が潔いと、読者としておもっていました。だから書くときには印象に残る言葉を語らせておくとか、エピソードを逆算で足します。伏線は覚えていてもらいたし、それが快感にもつながるのではないか。それで「バレバレだよね」と言われるのは、まあしょうがないかと。』
『僕らはドーベルマン的なテーマを、ドーベルマンの姿のままで熱く語られると耳をふさいでしまう。だから、柴犬を装って迫っていく。これは作家としての戦略ではなく、感覚として僕らが生きてきた時代に合うものなんです。』
『まわりの友人や知人を巻き込むような、ひとりよがりで傍迷惑なのが、恋愛の面白さ、豊かさなのかもしれません。』
『小説を書いているときはいつも、暗い道を進む気分です。明かりのない場所を手探りで進み、方角は合っているのかな、と不安になって、立ち止まったり、引き返したり、その繰り返しです。そんな時に、この賞をいただけました。』
『僕は、もともとは全然、論理的な人間じゃないんですよね。本来は青春小説的なもの、若者たちがワイワイガヤガヤやってる空気感のあるもの好きなので、ただ自然に書くだけだと、たぶん、それだけのものになっちゃうんです。でも、その一方で「ミステリーにしなきゃいけないんだ」という意識も根強くあって。だからいつも、ミステリーの部分は、ほんとにすごく考えます。一生懸命、「どうしたらみんな驚くかなあ」と。』
6pのインタビュー
『僕の小説を評して、「柴犬の皮をかぶったドーベルマン」といってくれた人がいて、その言い方はとても気に入っているんです。その、「ドーベルマン度」を強くしたい気もしますよね。柴犬の皮を脱ぐ気もないんですが、柴犬の皮を取ったらチワワだった、というのはちょっと寂しいですね。』
悪徳業者の電話セールスについてのエッセイ。
『もう少し、丁寧な対応はできないのでしょうか。あれだけ、不快な喋り方をされたら、穏やかな僕だって、腹が立ちます。騙される人も騙されません。ぜひ、マニュアルの改善を!いや、そういう問題じゃないか。』
10pのインタビューとアンケート
ミステリーに興味を抱かせ、影響を受けた作品
@『北の夕鶴2/3殺人』島田荘司
A『暗色コメディ』連城三紀彦
B『鯨とジュース』ロバート・キャンベル
青葉城と仙台駅の伊達正宗像について。
『青葉城の正宗は、仙台市街地を見下ろす恰好になっているのですが、ちょうど駅の方角を向いている気もします。「おまえ真似するんじゃねえよ」と駅の正宗像を睨みつけているのかも、と思ってしまいました。』
『読んでいて楽しい文章にしようとは考えています。でも、こじゃれたものを書こうとしているわけではなく、リズム的に気持ちいいふうに書いてます。ユーモアのあるものが好きなんですが、会話にはそれが出やすいのかもしれません。電撃的に五行先まで浮かんでくるんです』
『僕は大江さんの小説を音読したことがあるんですけれど、楽器を演奏するみたいに文章がぐねぐねしているんですね。 小説って、きっとその文章を読んでいるだけで幸せというところがあるものだと思います。 そうでなければ映像にしてしまえばいいんであって。読者としてそうなので、自分の小説もそのようになればいいなあと。』
『どうしてそんなおかしな設定を思いつくんだとか、よくいわれるんです。だけど、 僕にとっては別におかしな話じゃないんですよ。それどころか、リアリティーを求めているんです』
『あまりハッピーな話にならないことが多いですね。いくら悲しいことやつらいことがあっても、自分で決断した人生を人は生きていくしかないんだ、ということをずっと書き続けていきたいんです。』
Bご自身にとって「小説を書く」こととは?
『ゼロから物語を作り出す喜びでしょうか。デビューするきっかけとなった新人賞をいただいた時に、奥泉光さんが「小説は何でもできるんだよ!」と目を輝かせていたのを最近よく思い出します。おかげで「何でもできるのかも……」と思い始めちゃってます。』